Gore Drenched Legacy (2006)
86年にポートランドで結成された5人組の87年から91年の音源をまとめたコンピ(実はこのバンド当時あのNRRと契約したものの、NRRの倒産とともに消滅)。NRRだからというわけじゃないでしょうが、ヴォーカルはBLOOD FEASTのGary Markovitchっぽいタイプですし、スタイル、リフの質とかもBLOOD FEASTに近い。ま、BLOOD FEASTのいい曲ほどのクオリティーはないですが、彼らのダメな曲よりは、しっかりといい曲書いてますし、アホ加減、熱さ(暑苦しさ)も彼らに肉薄します。NRRが目をつけただけあって、無茶苦茶なソロ、表にスネアを入れてしまうドラミング、ヨレヨレなリフというポイントもありますし、ピンとくる方は買いましょう。あまりシリアスではなく、POST MORTEMにも通じるファニーさもNRRっぽい。
Horsecore: An Unrelated Story That's Time Consuming (1989/再発1999)
1988年にヒューストンで結成された4人組の1stフルレンス。スラッシュコアを中心に、バンド名にかけたのか、カントリー等の要素をフィーチャーした、個性的なクロスオーヴァー。デスメタルっぽい展開もあるあたりは、GARLIC BOYSと似たスタイル、ともとれますが、センスのよさは上こちらのほうがですし、彼らのようなハナをつくというか、嫌味な部分もないので好感が持てます。直線的ではなく色々なリズムを導入しているのも、やはりクロスオーヴァーらしいですし、実際十分な演奏力でこなしているので、聴きやすいタイプ。正直ハマるサウンドじゃありませんが、ヴォーカルはMETALLICAのJamesをより歪ませて、芝居がかった感じで悪くないですし、曲作りのセンスもいいバンドではあります。98年の「Death Rides A Deadhorse」デモをプラス。
Peaceful Death And Pretty Flowers (1991/再発1999)
2nd。1stよりもさらにデス、クロスオーヴァーなアプローチが強まっており、それを相変わらずのセンスとジョークで仕上げたアルバム。いい曲もありますが、内容は90'sですし、メタル度も低いので、個人的には1stで十分。「1990 Demo」と93年の「Feed Me」デモをプラス。
Exhumation (2006)
85年にメリーランドで結成されたトリオの、85~87年の音源(リハ、ライヴ etc)をまとめたコンピレーション。とにかくベースを兼任するVoがインパクトありすぎでして、まるで暑苦しいファンクをプレイしそうなルックスの巨漢黒人。それはともかく中身はドゥームの要素が濃厚なノイジーなHM。ただドゥームといっても、パワー/スラッシュといっても差し支えのないナンバーもありますし、へヴィなリフもスラッシュに接近します。そういう意味ではDREAM DEATHとか好きな人にも、受けそうなバンド。やっぱりルックス通り??暑苦しくて、アクの濃厚なトリップサウンド。
Forgotten Race (?)
オハイオで88年に結成された5人組のコンピで、「Armed To The Teeth」 (1989), 「Dark Embrace」 (1990), 「Ratrace」 (1991)の各デモを収録。中期、後期はリズムで遊んでしまう、ありがちなスタイルになっちゃっていますが、基本はストレートな暴走スラッシュであります。特に個性的なバンドではありませんが、シンプルにスラッシュビートを叩くドラマー、スピードを感じさせるアドリブソロ、吐捨が素直に格好いいヴォーカル、センスのいいリフ、としっかりと基本を押さえてますので、80'sスラッシュメタル好きは要チェック。長尺ナンバーでもたるまないので好感が持てます。
Greetings Of Death (2001)
1985年にLAで結成された、4人組のクリスチャンバンドのコンピで、86年のデモ「Greetings Of Death」に、コンピの「California Metal」(1987)に収録されていたトラック2曲、90年の「Weapons」デモ、92年のインタをプラスしたもの。予想通りというか、大した個性もなくて、アクの薄いサウンドですが、HIRAXの新譜を聴いたときにも感じましたが、こういった基本に忠実なスラッシュメタルはやっぱり好きです。ユルい部分もある+捨て曲もありますが、ヴォーカルを中心にHMな要素もあったりしますし、思っていたより楽しめました。特に②は◎。
後にドラムのChris HydeはVENGEANCE RISINGに加入、ギターのGlenn RodgersはVENGEANCE RISING→STEEL VENGEANCE→HIRAXと渡り歩く。
DEMENTIA (Chicago)
Recuperate From Reality (1991)
シカゴ出身のトリオの1stフルレンス。割とダーティな声質ながらも、ヴォーカルは歌ってますし、速い曲は少ない+曲自体はパワーメタル、もしくはHMなグループ。ただクランチたっぷりなリフのおかげでスラッシュに聴こえる、ということで救われました。正直これといった曲もないですし、バンドとしては地味なほうですが、いかにもアングラな雰囲気、チープなジャケット、スラッシュリフはやっぱりポイント。よく聴けばソロは結構弾きまくってますし、プレイも安定していおり、バンドの実力を感じます。スローダウンしたI.N.C.といったところでしょうか。
Maximum Destruction (1985)
1984年春にオハイオ州クリーグランドで結成された4人組の1stで、ヴァィオレントなパワーメタル。とにかく勢い中心な作り、リフが◎な内容です。初期スラッシュまんまの熱さもたまりませんし、ラフすぎるプレイにも感動します。Bloodyなヴォーカルも格好よく、十分に迫力ありますし、彼らなりのメロディもあったりします。メタルラヴな熱すぎる雰囲気も○だし、バックボーカルも強力。ダークでevilな"Pounding Evil"が特にオススメ。
DEVASTATION (Chicago)
Total Fucking Ripping Death (2006)
DEVASTATIONというとまずテキサスのバンドを連想すると思いますが、こちらはシカゴ産の86年結成4人組。86年に結成された4人組で、1stデモ「Creation Of Ripping Death」 (1986)に、87年のデモと未発のLP音源をプラスしたコンピ。当時LPは「Dispensable Bloodshed」というタイトルで、New Renaissance Recordsからリリースされるはずだったらしいですが、理由はわかりませんが結局リリースされずじまいでした(いかにもNRRらしいオチです)。ところで内容は十分なアグレッション、疾走感をちゃんとキープしたラフでハイテンションなプレイ、シャウトと低音の咆哮を使い分けるヴォーカル、しっかりとツボを押さえた80'sブラック臭もあるリフ、という素晴らしさで、改めて当時のシカゴシーンの厚さを再確認する出来です。こけおどしっぽいチープな感じは、初期MASSACREにも通じる雰囲気ですし、Kelly Kingっぽいソロはベタですがポイントであります。恐らくテキサスのDEVASTATIONと間違って買う人もいると思いますが、彼らよりも全然格好いいですので、大いに間違ってください。
A Symphony Of Decadance (1989)
1986年にピッツバーグで結成された4人組の1stフルレンス。「A Symphony~」というタイトルからして、クラシカルスラッシュかと思いきや、実際はHORDE OF TORMENT (THE)をHC寄りにして、ちょっとNRR/WRRらしさを加えたタイプ。そう書くと微妙なニュアンスですが、実際中々テンションの高いサウンド。スピード中心な作り、速口Voと、基本をしっかり押さえてますし、いいリフも多い+適度な熱さもあります。16曲入ですが、こちらも曲は短いので一気に聴けます。ちなみにレコーディング自体は87年。
Grotesque Wedlock (2004)
87年にミルウォーキーで結成された5人組の、3本のデモをまとめたコンピレーション。BLOOD FEASTやNECROPHAGIA, DEAD CONSPIRACYのようなBloodyで、暑苦しさ満点のスラッシュメタル(ヴォーカルもBLOOD FEASTのGary Markovitchっぽい)。1stの頃のDEATHっぽいラインもあったりしますが、こちらのほうがプロダクションを含めrawです。シンプルでストレートな作り/プレイにも好感がもてますし、アクが強い、ノリがいい+素直にいい曲書いてます。Goreな感じの歌詞、ジャケットということで、誤解を招きそうですが、これはThrash Goreかな。ドゥーミーなデスメタルの90年のデモのせいで、デスメタル扱いしているサイトもありますが、↑こういう内容ですから、ご安心を。
Too Many Skeletons (1986)
1985年に結成された5人組の唯一の作品。HMバンドがスラッシュに影響されて「じゃーMETALLICAっぽく行こうぜ!」みたいなノリで作ったような作品。ということでスラッシュ度は実際低く、スピードメタル寄り。リフ、ソロともに手数の多いギターを中心に、プレイは安定してますし、決して酷い作品ではありませんが、正直毒にもならないサウンド。HMとしても印象は薄い、ということで正直スルーして頂いて結構です。ちなみにA⑤はSimon And Garfunkelのカヴァー。そうそうヴォーカルはメロディを微妙に追ってますが、Jeff Becerraに似てるのはポイント。
Demo 1986 (2009)
85年にテキサスで結成された彼らのコンピで、デモ「1986 Demo」に、リハ音源を加えた09年コンピ。いかにもテキサスらしいパワーメタルで、展開を多用したプログレッシヴな雰囲気もあったりします。ガッツィーなリフ、スピードメタルなアドリフソロをプレイするギターに比べると、NWOBHMっぽい線の細いVoは風に飛ばされそうな勢いですが、そのobscure感がマニアの心を掴みます。素直にいいリフ書いていますし、プログレッシヴといっても実際わかりやすいサウンド!!
Stricken By Might (1987)
NYのクイーンズで結成された5人組の1st。以前アナログを持ってましたが、手放す→その後やっぱり欲しくなる→最近ブートCDで再発→ゲット!!!という得意のパターン。そんな無駄話はともかく、おどろおどろしさもあるパワー/スラッシュメタルで、バンドのアンセムとでもいうべき④、ANTHRAXの"Panic"みたいな⑤、ハイトーンのシャウトも格好いい歌えるヴォーカルを活かした⑦と、バリエーションにとんだ内容(確か一番へヴィな⑩はベースが歌っているハズ)。曲作りも上手いですし、バンドアンサンブルも○、ということで80's好きなら何度でも聴けるアルバム。1stの頃のANTHRAXをJoey Belladonnaが歌った感じですが、実際もっと泥臭くてマイナーな感じもグッド。ちなみにTHE RODSのCarl Canedyがプロデュース。
Sicker Than I Thought (1990)
ギターのRui, Adam以外交代した2nd。前任のシンガー、Joseph Palmerの印象が強い分、新しいヴォーカルは、声質はJosephに近いけど割と普通ですし、以前のようなドロドロ感もなくなったので、個性は薄れてしまいました。しかしパワーメタル色の強かった1stに比べて、確実にスラッシュ度はアップしてるし、スピーディなナンバーを中心にリフの格好よさはこちらのほうが上だったりします。プレイもタイトですし、同じスタイルのHARTER ATTACKなんかよりもオススメ。ミドルも悪くないし、ディプレッシヴな雰囲気も○。
EXECUTIONER (Florida)
Metal Up Your Ass (1985/再発)
84年にフロリダで結成された5人組で、メンバーはJohn Tardy (Vo), Trever Peres (Gr), Allen West (Gr), Daniel Tucker(Ba), Donald Tardy (Dr)。ということでOBITUARYの前身バンドの唯一のデモ。もちろん当時からあのサウンドではなくて、これは時代を含めて、完全にスラッシュメタル。しかもこの頃のJohn Tardyは「別人!!」と思えるほど、今とは違うスラッシュスタイル+バックはスピードメタル寄り、ということで全然彼らっぽくありません。正直このスタイルのほうが好きかも。
Nightmare Theatre (1985)
1st。ご存知だと思いますが、Jack Starと決別したVIRGIN STEELEが、法律上VIRGIN STEELE名義ではアルバムをリリース出来なかった為、バンド名を変えて、プロジェクト的にリリースされたアルバム。結論からいって単なるプロジェクトとは思えないクオリティ。独特なハイトーンが売りのDavid DeFeisのVoも、スラッシュな吐捨が様になっており、実際本業よりもいい仕事をしていますし、Jack Starっぽい速弾きギターも安定しており、弾きまくるソロはまさにスピードメタル。超シンプルながらもフックのあるリフは、やっぱりこの時代独特のものだと思いますし、アルバイト的なビジネス臭がプンプンながらも、本物の香りがする一枚。ベタなバンド名、ジャケもグッド。PILEDRIVERとか好きな人にもオススメ。
Retrospective From Hell (2005)
85年に結成されたトリオの3本のデモに、EP「A Somber Evocation Of Nihilism」をプラスしたディスコグラフィーCD。90年以降は初期PESTILENCEにPOSSESSEDをプラスしたような、デスメタルをプレイしてますが、88年の音源はCRYPTIC SLAUGHTERばりに爆走するものの、プロダクションを含めてこれはスラッシュメタル。曲によって印象が違うため、レビューしにくい厄介なバンドですが、evilでダークなサウンドは、初期DEATHをPeter Steeleが歌った、というのが妥当でしょうかそうそうスウェーデンのMORBIDっぽくもあり。
Ashes Tell No Tales (2008)
イリノイ出身の4人組で、コンピ「Metal Massacre Ⅷ」にも参加していたバンドです。CDには2本のデモ「Demo Ⅰ」 (1985), 「Demo Ⅱ」 (1987)、DVDには88年のイリノイでのライヴを収録したCD+DVDの2ディスク仕様。まずは85年のデモですが、ファルセットのハイトーンのシャウトでスタート+この年、ということで、予想通りスラッシュ以前のパワー/スピードメタル。切り裂くようなVoのスタイルを含めて、1stの頃のABATTOIRを彷彿とさせる、ガッツィーでへヴィなスタイルです。スピーディなリフも○ですし、メタルラヴな雰囲気も濃厚な点もグッドです。もちろんというか87年の音源ではスラッシュ度がアップしており、ギターサウンドは適度なドンシャリ、Voも吐き捨て中心のスタイルに変化しています。ヘドバンするにはちょうどいいテンポなので、ノリもいいですし、ジックリと基本に忠実に攻めるスタイルは、リフを含めて○な内容。DVDもダサすぎるアクションのVo、ハゲのベースを中心に必見。
Mortal (1993)
詳細はわかりませんがクリスチャンバンド。スラッシュらしくないジャケのせいで、全く期待してませんでしたが、ただ安かったので購入。でもって、全くその通りのダメダメモダン/インダストリアルサウンド。よくプロデュースされてますし、バンドの実力もあるけど一回聴けば十分。
S/T (2006)
87年にマサチューセッツで結成された4人組のデモ「Demo Ⅰ」 (1987), 「Demo Ⅱ」 (1988)、「Demo Ⅲ」 (1989)をまとめたコンピ。FORBIDDENのRussよりもさらにデブなヴォーカル(SACRED REICHのドラマーにソックリ)は、へヴィで実に格好いい吐捨だし、バキバキなってる硬質なベースを中心に、演奏力も強力。タイプとしてはDECIMATION, DELIVERANCE (US)にも通じる、変な小細工のないストレートなスラッシュメタルで、実に格好いいサウンド。日本盤をリリースしていた正直どうでもいいバンドよりも、確実にいい曲を書いてますし、欠点がないというか総合力もアリ+どっかのバンドみたいなrip offもナシ。89年のデモも実にクールな仕上がり。
After The Battle (1991)
1989年にシカゴで結成されたトリオの1stフルレンス。埃っぽい吐捨ヴォーカル、下品なルックスのメンバー,アンチクライストな歌詞、ということでBULLDOZERを彷彿とさせる極上スタイル。実際リフ、人脈を含めて初期MASTERっぽくもあります。とにかく低音でうごめくリフは絶品ですし、ラストまでテンションはしっかりキープ。アドリブ中心のソロも〇ですし、勢いは初期スラッシュメタルまんま。
Victims Of Science (1989)
1986年にテキサス州アーリントンで結成された5人組の1stフルレンス。リフ、ツインのフレーズ、ソロにSLAYERの影響を感じますが、さすがテキサスのバンド、ヴォーカルを中心に独特の馬力があります。正直あんまり個性的なバンドではありませんが、クオリティはHORDE OF TORMENTやRECIPIENTS OF DEATHといったバンドにも肉薄しますし、スピーディなプレイも十分にタイトです。実際地元ではかなり人気があったようで、ただ単に出てくるのが遅かっただけなグループですね。
尚2005年の再発にはデモ「GAMMACIDE 91」と、2004/2005年に録音されたナンバー2曲がプラス。
Socially Unacceptable (2001)
1990年にタンパでNASTY SAVAGEのBen Meyerが中心となって結成したバンドの2nd。いわゆるコミック/パーティバンドのようで、ブラックジョークな歌詞、ファニーな雰囲気を中心に、リラックスしたユルいアルバム。でもNASTY SAVAGEよりも格好いい曲もあったりして、こちらも侮れません(Benのヴォーカルもグッド)。尚シークレットトラックでJUDAS PRIESTの替え歌?をプレイ。
GUILLOTINE (LA)
Bring Down The Curtain (1989)
LAで結成された4人組の唯一の作品で、詳しいクレジットがないのでわかりませんが、メンバーの一人は女性。バンド名のせいで「サタニックスラッシュか?」と思いましたが、中身は以外にもHC寄りのスタイルで、雰囲気は実際明るかったりします。まあそれはいいとして、肝心の楽曲は普通すぎる、というか退屈。これで酷かったら逆にレビューしやすいですが、それ程酷いわけでもない。ま、リフのラインはメタルらしくないというか、よく聴けば個性的なスタイル。NRRやWRRからリリースされるべきだったダメサウンド。ちなみにEXODUSを手がけたMark Senasacがプロデュース。
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